はじめに
歯は1本だけ独立して立っているということではなく、他の歯を支えながらバランスを保って立っていると言われています。
つまり、1本なくしてしまっただけでもさまざまなトラブルの原因になるということ。
歯をなくしたまま放っておくと、全身にも悪影響を与えるため、新たに歯を補う必要があります。
その方法にはブリッジ、入れ歯、インプラントなどがありますが、最近ではインプラントが優れた治療法として広く行われるようになってきました。
ただ、インプラント治療を受ける際にもトラブルが起こりうることがあるため、そういったトラブルを未然に回避することが必要です。
ここではインプラント治療で起こりうるトラブル例や、その回避方法などについてまとめてみました。
インプラントのトラブル例
- インプラントが骨を突き抜けてしまう
上あごの奥歯の骨の上には上顎洞と言われる空間があり骨が薄くなっていますが、そこにインプラントを埋め込む際に骨を突き抜けてしまうと、上顎洞へインプラントが入り込んでしまうため大手術になることがあります。 - インプラントのねじが歯ぐきから出てしまう
インプラントが骨としっかり結合しても、インプラントのねじが歯ぐきから出てしまう場合があります。
この原因は骨に厚みが不足しているのにインプラントが埋め込まれたりしたため骨が吸収されてしまうことによるものです。 - インプラントが神経に触れマヒが起きる
下あごの奥歯の骨の下に下歯槽神経と言われる太い神経の管がありますが、ここにインプラントが触れてしまうと神経が圧迫されたりすると、麻痺が残ることがあります。 - 神経損傷によるしびれ
インプラント手術の際に神経を傷つけてしまうと、しびれが残ってしまうことがあります。
動脈を損傷した時と同じで、骨に穴を開ける時に誤って神経に傷が付いてしまったり、インプラントを埋め込む角度や位置が正しくないため先が骨から飛び出し神経が圧迫されると、お口の中や舌、口の周りなどにしびれが残ることがあります。
神経の損傷具合にもよるのですが、場合によっては神経を修復する治療が行われたり、そのまま後遺症が残ってしまうこともあるようですね。 - しっかりと噛めない
インプラントと骨がしっかりと結合し上の人工歯もうまく装着して治療が成功したように見えても、しっかりと噛めないという場合があります。
その理由はインプラントを埋め込む場所と噛み合わせにトラブルがあることによるものです。 - 大量出血
インプラント治療のトラブルにはさまざまなものがありますが、以前経験豊富な歯科医師による手術による死亡例があります。
歯ぐきに穴を開けてインプラントを埋め込むフラップレス手術の際に起こったもので、動脈が損傷し死亡しました。
この方法は患者さんにとって負担が小さいものの、歯ぐきを切開しないので血管までどの程度距離があるか分かりづらいのがデメリットです。
この事故ではインプラントをドリルで穴を開けて埋め込む際に動脈を誤って損傷してしまい、大量出血を起こして呼吸困難になったことによって起こったそうです。
インプラント治療でのトラブルを回避するためには
では、上でご紹介したようなトラブルを回避するにはどうすればいいのでしょうか?
クリニック選びは慎重に
最も重要なことはやはり信頼できるクリニック選びです。
インプラント治療は歯科医師であれば施術ができることにはなっていますが、技術力不足や知識不足によってトラブルが起きることがあります。
それを回避するには自分に合ったクリニック選びをすることが重要で、より信頼できるクリニックを選ぶことが大切です。
インプラント治療は保険が使えないため料金はクリニックごとに違っていますが、安いということにだけ焦点を当てず、こちらの気持ちをしっかり理解してくれているか、メリットだけでなくデメリットも説明してくれるか・・など納得した上で治療を受けるようにしましょう。
基礎知識を持っておく
インプラント治療を受けるためにはご自分がインプラントについての基礎知識を持っておくことが重要です。
そうすれば、ある程度トラブルを回避することができるでしょう。
クリニックで説明されたことが難しすぎて理解できない、不安や疑問点があってもどういう風に質問すればいいのか分からない・・という状態をなくせば、クリニック側と患者側の双方から最適な治療を選ぶことができるはずです。
カウンセリングでこちらの状態を的確に伝える
どうしてインプラント治療を受けたいのかクリニック側に明確に伝えるようにすれば、審美性や機能性に合った治療を受けられるでしょう。
また、全合にはそのことをクリニックに伝えるようにしましょう。
たとえば、高血圧や心臓病、骨粗しょう症、喘息、糖尿病・・などですね。
さらに、薬や大豆、卵、金属、麻酔などにアレルギーがある方はそれについても伝えておきましょう。
お薬の種類や疾患によってはインプラント治療が受けられないことがあることを頭に入れておきましょう。
ご自分の生活習慣を伝える
治療に当たり、手術や通院に影響があるものに患者さんの生活習慣が挙げられます。
もし、治療に影響がありそうな生活習慣があれば、前もってクリニックに伝えるようにしましょう。
たとえば、海外に行く可能性がある、仕事が忙しい、介護や育児をしている、転勤の可能性がある・・などですね。
患者さんのそういった生活習慣の情報を伝えることで、よりインプラント治療でのトラブルを回避できるでしょう。
治療法や治療費について保存しておく
後になってトラブルにならないように、クリニック側と約束した治療法や治療費については紙面に残しておくと良いでしょう。
また、領収書などもきちんと管理しておくようにしましょう。
まとめ
インプラント治療のトラブル例や、トラブル回避法についてまとめてみました。
インプラント治療でトラブルが起こらないように対策を取ることは重要ですが、そもそも虫歯にならないよう予防することも重要です。
定期的にクリニックで検診を受けていただき、虫歯にならないよう心掛けてくださいね。
それでもインプラント治療が必要になったら、できる限りトラブルを回避できるよう努めましょう!
さらに詳しいインプラントのご相談は筒井歯科へご相談ください。